Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
「何も心配する必要はありません。ケインが全て手配しましたので」

(慌ただしい状況の中で、ケインは冷静なのね)

 部屋で一息つくまでジョーンは、何も考えられなかった。王妃として行動しているつもりでも、抜けていた部分があった。ジョーンは情けなく感じた。

 ジョーンはケインの愛を感じた。

 いつも傍にいて、ジョーンの幸せを一番に考えてくれる。きっとジョーンに深い愛を捧げてくれるのは、どこを探してもケインしかいない。
 
       
「私はウイリアム・ダグラス様を信用できないわ」

 ローラの低い声が、ジョーンの耳に入った。ゼクスから目を離すと、右側にいるローラの顔を見た。

 ローラの目が、ウイリアムを睨んでいた。

「どうして、ここに貴方がいるの? 何で陛下は警戒をなさらないのですか? 謀反を起こした息子なのですよ!」

 ウイリアムがローラから視線を外した。下を向くと、申し訳なさそうに身を縮める。
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