Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 一四三七年二月二十二日。午後四時。

 ジョーンはパースからエディンバラ城に戻ってくると、すぐに議場に足を向けた。早馬で報告を聞いた議員たちが朝から、ジョーンの帰りを待っているらしい。

 ジョーンはケインと一緒に議場に入った。四百平方フィートの部屋に十二人の議員が、椅子に座っていた。

 ジョーンの姿を見た議員の男たちが一斉に立ち上がった。

 ジョーンは一人ひとりの顔を見ると、伏し目がちに瞼をおろし、室内の奥へと進んでいった。 

 外はどんよりと曇っており、部屋に明かりを灯さないと暗かった。議場でもランプ燭台に火を灯し、室内を明るくしていた。

 ジョーンは青い絨毯の上を歩き、十二人の議員の後ろを通りすぎた。

 部屋の一番奥には暖炉があった。ジョーンはそこまで足を進めると、一つ空いている椅子に座った。

 金色で、どの椅子よりも豪華だった。今まで、ジェイムズが座っていた椅子だろう。
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