Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
「その方法を教えてくださいませ」

 ベアトリクスが哀願した。ゼクスがベアトリクスの肩を抱くと、ウイリアムに視線を動かした。

 ベアトリクスの必死な姿が、ケインの心を痛ませた。一生懸命になれる気持はよくわかる。何かできるなら、何でもしたいと動こうとする心意気も理解できた。

 素直に感情を表に出せるベアトリクスを羨ましいと思う反面、何も考えずに動くベアトリクスが腹だたしくもあった。

「ジェームズ・ダグラスを殺せ」

 ベアトリクスがゼクスの腕の中で暴れた。憎しみを前面に出した表情で、ケインとゼクスを睨んだ。

 ケインはベアトリクスからウイリアムに目を移した。格子の中でゼクスたちを見ているウイリアムの表情は全く崩れていなかった。

 ケインとゼクスが来た時点で、何のために来たのか。なぜベアトリクスを連れているのか。いくつかの仮説を立てていたに違いない。

(ダグラスは私が殺すんだ)

「詳しい話は後日にするが、今日は国王軍に協力するか、否かを聞きにきた。協力すれば、ウイリアムの牢獄生活は終わる。ダグラス家の後継者としてベアトリクスと結婚もできる。協力しないなら、明日、処刑を決行する」

 ケインの言葉に反応したベアトリクスが、ゼクスから離れてケインに何か言おうとした。が、ゼクスに肩を掴まれて阻まれてしまう。
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