Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
「そろそろ本題に入りませんか?」
トマスが口を開いた。四角い顔に似合わず、高い声だった。ケインの視線は、トマスの顔にいく。
感情のない顔で、トマスがケインの目を見ている。大きな瞳が光った。
(トマスは愚鈍ではなさそうだ)
「今日の話合い。こちらとしては断っても良かった。ケイン殿もご存じの通り、ハイランド貴族はダグラス側にいます。それはダグラス殿の提示した報酬が、ハイランド貴族が望んでいる物と一致しているから。国王軍側はどうします? それ以上の報酬を提示しなければ、ハイランド貴族は動きません。ただでさえ、王族には嫌気がさしてますから」
「あなたがマー伯トマスで良かった」
ケインはトマスに微笑んだ。
はっきりとストレートに言ってくれる人間のほうが話しやすい。マイケルと話を進めるより、トマスと話をしたほうが早く纏まりそうだ。
「ダグラスの領土を分け与えよう。他のハイランド貴族に声を掛け、集めてくれるなら、分け与える領土を増しましょう」
トマスがほほ笑んだ。喜んで笑ったのか。馬鹿にして笑ったのか。ケインには読み取れなかった。
「領土だけですか? 交渉術はダグラスのほうが上のようです。ジェームズ・ダグラスは、私たちの願いを見事に言い当て、叶えてくれると約束しました。しかしダグラスが叶えられるのは、ダグラス自身が王にならないと無理な話ですが」
ハイランド貴族がバックにいる以上、勝てますが――と、トマスの心の声が聞こえた。
トマスがもっと報酬をよこさないと動かないと目で訴えていた。ダグラスはいったい、どんな交渉をしたのだろうか。
トマスが口を開いた。四角い顔に似合わず、高い声だった。ケインの視線は、トマスの顔にいく。
感情のない顔で、トマスがケインの目を見ている。大きな瞳が光った。
(トマスは愚鈍ではなさそうだ)
「今日の話合い。こちらとしては断っても良かった。ケイン殿もご存じの通り、ハイランド貴族はダグラス側にいます。それはダグラス殿の提示した報酬が、ハイランド貴族が望んでいる物と一致しているから。国王軍側はどうします? それ以上の報酬を提示しなければ、ハイランド貴族は動きません。ただでさえ、王族には嫌気がさしてますから」
「あなたがマー伯トマスで良かった」
ケインはトマスに微笑んだ。
はっきりとストレートに言ってくれる人間のほうが話しやすい。マイケルと話を進めるより、トマスと話をしたほうが早く纏まりそうだ。
「ダグラスの領土を分け与えよう。他のハイランド貴族に声を掛け、集めてくれるなら、分け与える領土を増しましょう」
トマスがほほ笑んだ。喜んで笑ったのか。馬鹿にして笑ったのか。ケインには読み取れなかった。
「領土だけですか? 交渉術はダグラスのほうが上のようです。ジェームズ・ダグラスは、私たちの願いを見事に言い当て、叶えてくれると約束しました。しかしダグラスが叶えられるのは、ダグラス自身が王にならないと無理な話ですが」
ハイランド貴族がバックにいる以上、勝てますが――と、トマスの心の声が聞こえた。
トマスがもっと報酬をよこさないと動かないと目で訴えていた。ダグラスはいったい、どんな交渉をしたのだろうか。