Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
一四四三年五月二十二日。午後十時。
ケインがパースから帰ってきた。マー伯トマスとの交渉がうまくいったと報告を受けてから、ジョーンはケインとベッドに滑り込んだ。
どのような交渉をしてきたのか。ジョーンがいくら質問をしても、ケインが話してくれなかった。成立して、マー伯トマスの息子を人質として預かってきたと言っただけで、他は笑顔で誤魔化された。
ケインの腕の中で、ジョーンは天蓋を見つめた。ケインが隣にいると思うだけで、心が満たされた。三日間は広いベッドの一人で寝た。すごく寂しくて、寒かった。お気に入りの赤いガウンを着て、潜っても寒くて心が凍えていた。
ジョーンは天蓋からケインに視線を動かした。枕に顔を預けて、ケインが気持ち良さそうに寝息を立てていた。金髪の前髪が乱れていた。疲れていたのだろう。
ジョーンは身体を起こすと、布団の上に投げてあったガウンに手をのばして、袖を通した。腰ひもを結び、布団から足を出した。
ベッドの脇に置いてある蝋燭の明かりが、ジョーンの視界に入った。ゆらゆら揺れる炎が、ジョーンの目を惹きつけた。
「もしかしたら私は、ジェイムズⅠ世より暴君かもしれない」
少し擦れた声がジョーンの背後から聞こえてきた。ジョーンは振り返ると、裸のケインが、目を開けていた。寝ていた目が充血している。
ジョーンは腰の位置をずらして、ケインの顔が見えるようにした。ケインが悲しげな表情を残して、微笑んでいた。
ケインがパースから帰ってきた。マー伯トマスとの交渉がうまくいったと報告を受けてから、ジョーンはケインとベッドに滑り込んだ。
どのような交渉をしてきたのか。ジョーンがいくら質問をしても、ケインが話してくれなかった。成立して、マー伯トマスの息子を人質として預かってきたと言っただけで、他は笑顔で誤魔化された。
ケインの腕の中で、ジョーンは天蓋を見つめた。ケインが隣にいると思うだけで、心が満たされた。三日間は広いベッドの一人で寝た。すごく寂しくて、寒かった。お気に入りの赤いガウンを着て、潜っても寒くて心が凍えていた。
ジョーンは天蓋からケインに視線を動かした。枕に顔を預けて、ケインが気持ち良さそうに寝息を立てていた。金髪の前髪が乱れていた。疲れていたのだろう。
ジョーンは身体を起こすと、布団の上に投げてあったガウンに手をのばして、袖を通した。腰ひもを結び、布団から足を出した。
ベッドの脇に置いてある蝋燭の明かりが、ジョーンの視界に入った。ゆらゆら揺れる炎が、ジョーンの目を惹きつけた。
「もしかしたら私は、ジェイムズⅠ世より暴君かもしれない」
少し擦れた声がジョーンの背後から聞こえてきた。ジョーンは振り返ると、裸のケインが、目を開けていた。寝ていた目が充血している。
ジョーンは腰の位置をずらして、ケインの顔が見えるようにした。ケインが悲しげな表情を残して、微笑んでいた。