Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 エドマンドに、レッド家のジェームズ・ダグラス、ジョージ・ダグラスは驚いた顔をしていた。ケインの言い出した案に動揺しているようだ。

 エドマンドの隣に座っているチャールズは、悪戯を思いついた子供のように目を輝かせ始めた。

「ロイがもしもブラック家側についていたとしたら、こちらの動きに警戒をしないでしょうか?」

 レッド家のジェームズ・ダグラスが心配そうな面持ちをして口を開いた。

「失敗したら、こちらに被害があるのでは?」

 同じくレッド家のジョージ・ダグラスも、ジェームズの考えに賛成するように、口添えをする。

 ジェームズとジョージは互いの顔を見合せて、頷き合った。二人を見ていたチャールズが、テーブルに掌を置くと、前に身体を出した。

「失敗しようが成功しようが、関係ない情報を流せばいいだろ? 要は、ブラック家とロイの間柄を利用して、ダグラス軍に不協和音が響けばいいんだ。信頼関係に、傷がつけば、軍の士気に左右されるから」

 チャールズは幼い頃から悪戯好きだった。相手の裏を掻き、驚いた顔を見るのが快感だと言っていたのを遠い記憶で聞いた覚えがある。

 ケインもチャールズの考えに賛成だ。こちら側の痛手とならない情報を、それらしくロイに話をして、ブラック家に話を流させればよい。

 ブラック家を偽情報で混乱させられると同時に、ロイが裏切ったか、否かもわかる。

 ケインは、レッド家のジェームズ・ダグラスとジョージ・ダグラスの顔を見た。だが、まだ納得していようには見えなかった。
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