Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
「ブラック家と同盟を結んだ相手に、どうやって情報を流せるというんだ? ロイだって警戒しているはずだ」

 レッド家のジェームズ・ダグラスがチャールズに質問をした。気弱な発言をしてきたジェームズ・ダグラスに、チャールズが困った顔をして、ケインを見た。

『説明してやってよ。このわからず屋に』と言わんばかりの表情をして、チャールズがケインを見ていた。ジェームズに説明するのを、チャールズが面倒くさがった。

「隙を突こうと思えば、いくらでも方法はあるさ。たとえば、愛人を利用するとか?」

 ケインの代わりにゼクスが答えた。ゼクスも楽しそうに微笑んでいた。裏切った相手に対しては容赦をしないのがゼクスの考えだ。

 同盟相手や部下には親切で、誠実だ。しかし敵には情け無用の男となる。温和な顔に似合わない冷酷な面を現す。

 今のゼクスの脳裏では、裏切ったロイをどうやって利用し、同時に罰を与えるかを考えているのだろう。ロイにとって最もつらい最期になるように。国王軍を裏切らなければ良かったと、死に際に後悔してこそ意味がある。

「もしロイが、ブラック家と密かに手を組んだのなら、少しでも国王軍の情報を得たいと思っているはず。誰もが知っているような内容ではなく、信頼し合っている仲間内でしか知り得ない情報を、だ。特別、ゼクスからの情報なんて、喉から手が出るほど欲しいに決まっている」

 ケインの頭の中で、ロイの利用法が固まってきた。ケインもまた、チャールズやゼクスと同じように、楽しい顔をしているのかもしれない。
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