空色の瞳にキスを。
「なぁ、来いよ。

ナナセちゃんを騙して眠らせたそんな改造人間じゃなくてさ、俺らのところへ、来いよ。

友達を売ったりなんかしないからさ、三人で旅しようか。」


ルグィンの胸を右手でドンと押して、サシガネは黒猫を押し退けて前に出る。

「な?」

どこかさっきまでの闇の本性が隠しきれない、そんな笑顔でサシガネが笑った。

金色の狩人は手を差し伸べて、ナナセに笑いかける。

自分に向けて差し伸べられた手を彼女は数秒見つめて、そして瞳を上げてサシガネの奥にいる黒猫を悲しそうに見る。

そしてもう一度サシガネの大きな手を見つめて、銀の少女はゆっくりと口を開いた。


「…ううん、行かない。

約束したの。
ルグィンと、一緒に行くって。」


小さな笑顔をやっと溢した。

幸せが滲み出るような、そんな笑顔。


「それにあたし、サシガネさんたちの本当の目的を知ってるよ。」

そう言って、彼女にしては冷ややかにナナセが笑った。

そう言った彼女を見て、サシガネはため息をつく。

「なーんだ、知っていたのか。」

サシガネの馬鹿にしたような、冷笑がナナセには見えた。

金髪の狩人は化けの皮をどんどんと剥がしていく。

「うん。
だって、最初からユリナじゃなくてナナセ王女を狙っていたでしょう?
昔、会ったときもそうだったもの。」

裏切りに動揺することなく振る舞うナナセ。

「そういや、そうだったな。」

心の中の裏切られて泣きたい気持ちを押さえ続けて笑う。

今までもずっとそうしてきた。

心に蓋をすることが悲しいことだと分かっていても、そうしないと生きてゆけない。

だから、今日も蓋をして。


「だから、ごめんね、捕まってあげられないんだ。」

にこり、と張り付けた笑顔で笑う。

「…そうかよ。
じゃあ、俺がお前を捕まえる。」

だん、と飛び出したサシガネ。

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