空色の瞳にキスを。
驚きとも悲しみとも取れるようなそんな顔の頭上の少女を見上げながら、またスズランは言葉を紡ぐ。


「あの人たちに貴女が裏切られる姿を見たくなくて、私の勝手で、貴女の決意、踏みにじっちゃったわ…。」


そこでふぅ、と息を吐く。

まだ辛い様子だが、獅子の少女は続ける。

「ごめんね、貴女を守りたいと…私が勝手に思ったの…。
傷付いて欲しくなかったの…。」


そう言って申し訳なさそうに目を瞑った彼女に、銀色の少女は話し出す。


「あたし…二人が隣にいてくれるだけでいいんだよ…?
傷付いたって、隣にいてくれる人がいたら…傷付いても、いいよ?」


聞いている方が切なくなるような、そんな声でナナセはそう言う。


「それなら…我が儘言っていいのなら、守ってもらうんじゃなくって、二人に一緒に戦って欲しかった…。」

切ないだけだった彼女の声は最後になるにつれて、涙が混じった声になる。

また、涙混じりの声が続く。

「あたしを、本当の意味で裏切ってなんか、いないでしょう?」


その問いに、獅子の少女は寝転んだまま真剣な顔で頷いた。

「うん。」



「…今は、それだけでいいよ。」


涙がまだ乾かない顔で、精一杯笑って見せる銀の少女。

その切ない笑顔に、獅子の瞳からも一筋涙が伝って床に落ちた。

また魔術をかけて、スズランを回復させる。

ナナセの底無しの魔力は、もうほとんどここに来る前と変わらないくらいに戻っていた。

「ねぇ、もう夜が明けるわよ。」

窓際に立って遠くの方を山と空の境目を見詰めるスズラン。

もともと厳しい環境で生きてきて慣れているのもあるのか、彼女はもう辛くないようだった。

「うん…。」

流石に気力を使い果たしたのか、壁に寄りかかり座り込んで瞳を閉じるナナセにスズランは口を開いた。

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