空色の瞳にキスを。
「私達はタチカワの文に秀でた者。
それに、私達の魔術は偵察にもってこいなんです。」


金の瞳のロロは二人を無視して続ける。

ロロの性格の方が落ち着いているようだった。


「だから、貴女方はお行きください。」

そう言ったロロとララの瞳は、色は違えど姉によく似た意思の強い瞳。

スズランの隣で、二人は並んで真っ直ぐにナナセを見つめる。



迷いがまだ胸にくすぶるナナセは、その4つの瞳を直視できない。


双子が黙ると、獅子の少女が話し出す。

「サシガネたちの話によると、あの子達は囚われているわ。
助け出せたら、戻っておいで。
…帰っておいで。」

スルリとナナセの両手がスズランのそれに包まれる。

ヒヤリとした感触が、優しくナナセの心の隙間に入ってくる。


「…待ってるわ。」


獅子の彼女は、ひどく暖かい笑顔と共にそう言った。

心配いらないよ、と続けてこつんと額をくっ付けられる。


ナナセはスズランがちゃんと回復するまでここにいたいと願う気持ちと、早くアズキとトーヤを助けに行きたいと願う気持ちが心のなかで葛藤を繰り広げて、動けない。


それでも手を握る温かさと、明るい茶の瞳の強い光が、銀髪の少女に決意を固めさせる。


「…うん…。」


掠れた小さな答えを溢して、ぎゅ、と固く目を瞑り、彼女はもう一度スズランに澄んだ瞳を向ける。

「分かった。
早く助けて、帰ってくるよ。
…ここに、また。」


澄んだ空色の瞳は、もう揺れない。


ルグィンが外を見れば、綺麗な朝日が輝く空に白い月がぽっかりと浮かんでいた。

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