空色の瞳にキスを。
少しだけメノウから離れた空を、四人は駆ける。

「アズキの翼、天使みたいだね。」

街から離れて誰もいないことに安心したのか、銀髪をなびかせた少女は柔らかく笑う。

でもどこか影のある笑み。


「でも、大丈夫?」

「うん。」

唇を引き結んで、大きな翼をアズキは魔力で必死に動かす。


体に不釣り合いな大きな白い翼は、ふらふらとぎこちない動きで少女を前へと進める。


「リョウオウまで飛べる?」


ナナセが心配そうに俯くアズキの顔を覗き込むと、茶色の瞳が苦しそうで。


堪らず彼女は茶髪の少女へ片手を差し出す。

その手と彼女を交互に見て、茶髪の少女は戸惑う。


「ナナセも…殺魔の力を受けたでしょ?」


必死にひとりで飛びながら躊躇うアズキにくすりと笑い、空色の瞳の少女は差しのべた手を引っ込めない。


「平気。

元々魔力は大きいから、少しぐらい取られたって心配ないの。」

曖昧に笑う少女の銀の髪が風と遊ぶ。

本当に苦しそうでなくて、あっけらかんとした様子に、アズキは遠慮がちに手を重ねる。


「じゃあ…頼んで…いい?」


「うん。」


銀髪の少女は嬉しそうにその手を握り、微かな明け方の光の中で、煌めく空色の魔力を発動させる。

アズキにも魔力の範囲が届くと、危なっかしく飛んでいた彼女はふわりと銀の少女と同じ高さまで浮上する。


その現象に、アズキにぱっ、と笑顔が咲く。



王女の手から伝わる国一番の青い魔力は、二人を淡く彩り、後ろを飛ぶルグィン達の目に映る。


ルグィンはその穏やかな光景に自然に口元を緩ませて。

トーヤは隣で必死に飛びながらナナセと彼女を見つめるルグィンを交互に見て。




「きゃー!」

楽しそうなアズキの声が薄く明るい夜明けの空に響いて、少女二人は顔を見合わせて笑った。

< 185 / 331 >

この作品をシェア

pagetop