空色の瞳にキスを。
二人はゆっくりと少年達の後を追いながら、ナナセが口を開く。

「リョウオウへ今から行くんだけど…。

あそこじゃ隠れられないし、もし追手が来たらことが大きくなるから、すぐにルイスに行くよ。」

「ルイス…?」

どこかで聞いた名に、アズキが首をかしげる。



「あたしの友達のところ。

…ごめんね、急で。

父さん母さんに会える時間は本当に短くなっちゃうの…。

あたしのせいで会えなくなっちゃって、引き離しちゃって本当に悪いとは思ってる。


…だけど、リョウオウではどうしようもないから、ルイスに行かなきゃならないの。」


俯き、泣きそうな顔でナナセはアズキに頭を下げる。

アズキには自分の今の状況に責任を感じてくれているナナセの心が十分分かった。


「そんなに責任感じなくても…いいよ。

助けてくれただけで、本当に嬉しいよ。」

アズキが伝えようと口に出す言葉は拙くて、もっといい言葉を探したけれど見つからない。


けれど、目の前で空色の瞳がぐらりと揺れて彼女の瞳が涙で滲むから、伝わったことがアズキにも分かる。



「その大きな魔力も、赤いその目も、家族と引き離してしまうのも全部、ぜんぶ…!!


…あたしのせい、なんだよ…。」

透明な涙がナナセの頬をぽろぽろと伝う。


彼女が片手で涙を拭っても、あとからあとから零れてくる。


アズキはその姿を見て、言葉に詰まる。


それを見て、アズキは上手く伝えられないと知っていても、言葉を生む。



簡単な言葉じゃ、一言じゃ、伝えられない。


だけど。



だけど伝えたい、と。


「ねぇ、ナナセ。」



いつもよりも優しい先見の少女の声に、涙で濡れたスカイブルーの瞳が上がる。


「私、ナナセが大好きだよ。


こんな風になっちゃったけど、私後悔してないよ。


普通はこういう事態のあとはナナセが嫌いになったりするとか、そんなの知らない。


私は…ソライ・アズキは…ナナセと友達になれて嬉しかった。


今でも、信頼してる。

友達だって、思ってる。」


言葉にならないほどの信頼をどうにか伝えたくて、アズキはナナセの手をぎゅ、と握る。

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