空色の瞳にキスを。
娘を抱き締めたコルタの肩が震えている。
エリの頬に涙が伝う。
「馬鹿な子…!
連れ去られたりなんかして…!
どれだけ心配したと思ってるの!!」
「悪かったな、ごめんな、ごめんな、アズキ…!!」
それぞれが、涙声で叫ぶ。
身を切られるような、そんな叫びにファイであるナナセには聞こえた。
それを聞いて、よかった、とも思う。
悲しいとも、苦しいとも思うけれど。
あんなに心配して、涙してくれる親がいることが、ただ純粋に羨ましかった。
そんな瞳をしていることを知ってか知らずか、ルグィンがファイの手を自分の手で包み込む。
握られた暖かさに気づいたファイがぱっと黒猫を見上げる。
黒猫は彼女の小さな手を握って、なにも言わずに目の前の親子を微かな優しい雰囲気を纏って眺める。
だから、ファイも口を開くことなく小さな微笑みと共にアズキたちを見る。
その姿をトーヤは背後で複雑な表情で眺めていた。
口はへの字に曲がって。
小石をコツンと爪先で蹴る。
また誰かが家の中から出てきた。
その音に気づいて見上げると、アズキの家から出てきた寝巻き姿の自分の両親だった。
アズキとコルタたちの再会を見て、誰かを探している風な両親。
その二人のもとへと、トーヤは駆け出した。
「母さん、父さん!!」
「トーヤ…!?」
声は確かに父に似た息子のものなのに、姿が違うことに戸惑いを見せるサヨとカルヤ。
その反応に、トーヤは思い出す。
─そうか。俺、改造のお陰で急に大人びたんだっけ…。
─子供の姿では器である身体が耐え切れなくなって、急に大人になることは魔力の開発ではよくあることと、軍の奴が言っていたっけ。
「へへ…大人に、なっちゃった…。」
悲しそうに笑うその笑い方が、カルヤにそっくりで。
サヨとカルヤは目の前の少年が愛しい我が子だと確信し、ゆっくりと近付く。
二人のその反応に、トーヤも恐る恐る歩みを進める。
だが、あと数歩の距離になると、どうしてか三人ともが立ち止まる。
数十秒の沈黙の後、トーヤが気恥ずかしそうに言った。
「…ただいま。」
その言葉に、サヨの顔が崩れる。
泣き顔で、精一杯の笑って言った。
「…おかえり…。」
そう言って母が近付く気配を見せたことをめざとく見つけたトーヤ。
「母さん、抱きつくとかそういうのはやめてよ…。」
恥ずかしさから、トーヤは半歩後ずさる。
「いいじゃないの、こういう時くらい。」
それでもサヨはトーヤにすりより、優しく抱き締める。
「大きくなったね…。」
「まぁ、な。」
ああは言ったものの、その温もりが嫌ではないトーヤは、抱きついてくる小さな母親をぎこちなく抱き締め返す。
そうして顔を上げると、優しく同じ目線の高さで微笑む父がいた。
いつも厳しいその目の優しさに、不覚にもトーヤの視界がじわりと滲んだ。
エリの頬に涙が伝う。
「馬鹿な子…!
連れ去られたりなんかして…!
どれだけ心配したと思ってるの!!」
「悪かったな、ごめんな、ごめんな、アズキ…!!」
それぞれが、涙声で叫ぶ。
身を切られるような、そんな叫びにファイであるナナセには聞こえた。
それを聞いて、よかった、とも思う。
悲しいとも、苦しいとも思うけれど。
あんなに心配して、涙してくれる親がいることが、ただ純粋に羨ましかった。
そんな瞳をしていることを知ってか知らずか、ルグィンがファイの手を自分の手で包み込む。
握られた暖かさに気づいたファイがぱっと黒猫を見上げる。
黒猫は彼女の小さな手を握って、なにも言わずに目の前の親子を微かな優しい雰囲気を纏って眺める。
だから、ファイも口を開くことなく小さな微笑みと共にアズキたちを見る。
その姿をトーヤは背後で複雑な表情で眺めていた。
口はへの字に曲がって。
小石をコツンと爪先で蹴る。
また誰かが家の中から出てきた。
その音に気づいて見上げると、アズキの家から出てきた寝巻き姿の自分の両親だった。
アズキとコルタたちの再会を見て、誰かを探している風な両親。
その二人のもとへと、トーヤは駆け出した。
「母さん、父さん!!」
「トーヤ…!?」
声は確かに父に似た息子のものなのに、姿が違うことに戸惑いを見せるサヨとカルヤ。
その反応に、トーヤは思い出す。
─そうか。俺、改造のお陰で急に大人びたんだっけ…。
─子供の姿では器である身体が耐え切れなくなって、急に大人になることは魔力の開発ではよくあることと、軍の奴が言っていたっけ。
「へへ…大人に、なっちゃった…。」
悲しそうに笑うその笑い方が、カルヤにそっくりで。
サヨとカルヤは目の前の少年が愛しい我が子だと確信し、ゆっくりと近付く。
二人のその反応に、トーヤも恐る恐る歩みを進める。
だが、あと数歩の距離になると、どうしてか三人ともが立ち止まる。
数十秒の沈黙の後、トーヤが気恥ずかしそうに言った。
「…ただいま。」
その言葉に、サヨの顔が崩れる。
泣き顔で、精一杯の笑って言った。
「…おかえり…。」
そう言って母が近付く気配を見せたことをめざとく見つけたトーヤ。
「母さん、抱きつくとかそういうのはやめてよ…。」
恥ずかしさから、トーヤは半歩後ずさる。
「いいじゃないの、こういう時くらい。」
それでもサヨはトーヤにすりより、優しく抱き締める。
「大きくなったね…。」
「まぁ、な。」
ああは言ったものの、その温もりが嫌ではないトーヤは、抱きついてくる小さな母親をぎこちなく抱き締め返す。
そうして顔を上げると、優しく同じ目線の高さで微笑む父がいた。
いつも厳しいその目の優しさに、不覚にもトーヤの視界がじわりと滲んだ。