空色の瞳にキスを。
食事の準備もあらかた整い、ファイがサヨやエリ、サラへと一通りの今までの状況を話していた。


すると、トーヤとカルヤが部屋へと入ってきた。


話に一区切りつけると、アズキの祖母は口を開いた。


「さて、全員揃ったね。

全員お座り。」


いつも聞いているその優しい声が、いつになくピンと張り詰めていて、威厳を感じた。


いつもの机を皆が囲む。

ファイの隣にはアズキとルグィンが。


向かいに座るサラはいつもの優しい雰囲気よりも、厳格な雰囲気を醸し出している。

エリたちにもあまり見せない姿なのか、皆がサラを珍しそうにちらちらと見る。


─もしかして、神官をしていたサラ婆は、こんな感じだったのかな。

そんな思いでファイはサラを見ていた。

「ナナセ王女。」


サラが重々しく口を開いた。

呼ばれたファイは反射的に背筋を伸ばす。


ファイの中のナナセが真剣な瞳をしていることを、いつものように隣に座るアズキは感じた。


「まず、助けてくれてありがとう。

孫とその友人を救ってくれたこと、感謝する。」

向かいに座る彼女に向かって、サラは頭を垂れる。


その態度にファイはどうしていいのか分からず固まる。

そしてぎこちなく彼女も頭を下げる。

「サラさん…。」


この雰囲気でいつものようにサラ婆なんて呼ぶ勇気はファイには無かった。


「ナナセ王女。」

サラの色の薄い瞳がこちらを見た。

「はい。」


まわりはなにも言わずに二人に注目する。


「お前さんは、これからどうしたいんだ?」


その問いに、身を固くしたファイは口元に手を添えて数秒考え、ゆっくりと口を開いた。

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