空色の瞳にキスを。
意味は少ししか分からないけれど、アズキにも国の危機はなんとなく分かった。


「それは今の王達も知っているのかね?」

サラに聞かれたファイは黒い瞳のままで、真剣な色を称えている。


「恐らくは。

今あたしを躍起になって追っているのは、おじいさまの祈りが切れてしまうからじゃないかな。


でなければ今更あたしをいくら王女と言っても、首狩りを総動員してまで追わないんじゃないかと思います。」


それから、と言葉を繋げて、ファイはこう続けた。


「あたしのしたいことは、儀式をして、祈りを少しでも長く続かせることです。

それから、個人的なことですがもうひとつ。

ライに会って話がしたいです。」

そのファイの声に、静かな部屋が余計静かになる。


それでも瞳はまっすぐ、揺らがずにいる。



「正気か…?

相手は暗殺犯だぞ?

今では偽物でも一国の王だぞ?」

ファイの馬鹿みたいな答えに心配になったコルタが口を挟む。


ファイは止めてくれたコルタに曖昧に微笑む。

その笑い方の切なさが、ハルカにひどく似ていて、彼は声を出せなくなる。



「あたしは今、面と向かってあの人と話せるかは分かりません。


だけど、とうさんを殺した理由をいつか聞きたい。

1年以内に儀式に王城に行くつもりだけど、その時にもし出会っても、聞けるかは分かりません。

あたしはライと向き合う強さがあるか、わからないから…。


それから、聞きたいことがたくさんあります。

その答えによっては、ルイの石を渡してもいいと思ってます。」



そんな答えは、ますますコルタやエリを混乱させる。



─父を殺された相手にわざわざ会いに行くようなこと、あり得ない。


目の前の少女のまっすぐ過ぎる言葉は演技でも嘘でもないとコルタやエリ、カルヤまでもが感じるから、余計に苦しい。

< 200 / 331 >

この作品をシェア

pagetop