空色の瞳にキスを。
今年最後の夜は、今年一番に華やかに。
きらびやかな衣装を身に纏った人々が、ルイスの屋敷の大ホールに溢れている。
アズキやトーヤもホールへと足を踏み入れたはいいものの、初めての社交界に圧倒されて動けないままでいる。
ファイは真っ黒な瞳を人混みへと向けて、無言のままアズキの隣で壁を背に佇んでいる。
まっすぐに見つめる光には、切ない色が見え隠れする。
あんな中に昔いたなんて嘘みたいだけど、確かに覚えている。
パーティーを見る目線があの時よりも幾分高いことにひどく違和感を覚えて、ファイは微かに笑う。
一人で笑っていたことに気付いてファイが顔をあげれば、獅子の女の金の耳が見えた。
スズランはホールに入った途端大勢の人に囲まれてしまい、人混みに埋もれてしまった。
それだけで、彼女がどれほどの人かということが見てとれる。
このパーティーはスズランの関わりのある国々や軍部、大きな商人達が集まる。
獅子の姿を眺めながら、スズランがパーティーの始まる数十分前に自分達に言った言葉を思い出す。
ひどく真剣な瞳が脳裏にまだ焼き付いている。
『貴方達をここに出すのは、私の友人としてじゃないわ。
国の偉い方が来るからよ、忘れないで。
貴方達にはこの1ヶ月で私はマナーも教えたわね?
なにかを掴む機会を与えたわ。
─あとは貴方達次第。』
少し強引な、それは獅子なりの優しさで。
彼女なりの厳しさが込められたこのパーティーの出席。
ナナセを狙う人間が集まるこの中で。
─失敗は、許されない。
ナナセの欠片を見せてはいけないと改めて心に刻み、黒い瞳を開けた時にはもう、黒髪の少女は大人の顔をしていた。
ファイ達は4人でリク直属の部下として出ている。
それもリクが単独行動を許す上手い言い訳を作ってくれたようで、自由に動き回ることが出来た。
スズランが信頼を置くリクは、上手くいくようにことを運んでくれたようだった。
ナナセとしてスズランに思いは伝えていないのに、それを掬い取っているかのような彼女の気遣い。
それに応えなきゃ、とファイは隣のルグィンに声をかける。
「じゃあ、あたし行くね。」
丈の長いドレスの衣擦れの音をさせながら、ファイがゆったりと動く。
その動作は丁寧で、他の客人に見劣りしない。
昨日の青いドレスとはまた違った、黒のドレスは彼女の意志を表すように、落ち着きがあるが強い色。
その色が、集団を抜けて人混みに向かおうとするから、その色を追うように黒猫が手を伸ばす。
「おい、ちょっと待てよ。
一人じゃ危ないだろ。」
きらびやかな衣装を身に纏った人々が、ルイスの屋敷の大ホールに溢れている。
アズキやトーヤもホールへと足を踏み入れたはいいものの、初めての社交界に圧倒されて動けないままでいる。
ファイは真っ黒な瞳を人混みへと向けて、無言のままアズキの隣で壁を背に佇んでいる。
まっすぐに見つめる光には、切ない色が見え隠れする。
あんな中に昔いたなんて嘘みたいだけど、確かに覚えている。
パーティーを見る目線があの時よりも幾分高いことにひどく違和感を覚えて、ファイは微かに笑う。
一人で笑っていたことに気付いてファイが顔をあげれば、獅子の女の金の耳が見えた。
スズランはホールに入った途端大勢の人に囲まれてしまい、人混みに埋もれてしまった。
それだけで、彼女がどれほどの人かということが見てとれる。
このパーティーはスズランの関わりのある国々や軍部、大きな商人達が集まる。
獅子の姿を眺めながら、スズランがパーティーの始まる数十分前に自分達に言った言葉を思い出す。
ひどく真剣な瞳が脳裏にまだ焼き付いている。
『貴方達をここに出すのは、私の友人としてじゃないわ。
国の偉い方が来るからよ、忘れないで。
貴方達にはこの1ヶ月で私はマナーも教えたわね?
なにかを掴む機会を与えたわ。
─あとは貴方達次第。』
少し強引な、それは獅子なりの優しさで。
彼女なりの厳しさが込められたこのパーティーの出席。
ナナセを狙う人間が集まるこの中で。
─失敗は、許されない。
ナナセの欠片を見せてはいけないと改めて心に刻み、黒い瞳を開けた時にはもう、黒髪の少女は大人の顔をしていた。
ファイ達は4人でリク直属の部下として出ている。
それもリクが単独行動を許す上手い言い訳を作ってくれたようで、自由に動き回ることが出来た。
スズランが信頼を置くリクは、上手くいくようにことを運んでくれたようだった。
ナナセとしてスズランに思いは伝えていないのに、それを掬い取っているかのような彼女の気遣い。
それに応えなきゃ、とファイは隣のルグィンに声をかける。
「じゃあ、あたし行くね。」
丈の長いドレスの衣擦れの音をさせながら、ファイがゆったりと動く。
その動作は丁寧で、他の客人に見劣りしない。
昨日の青いドレスとはまた違った、黒のドレスは彼女の意志を表すように、落ち着きがあるが強い色。
その色が、集団を抜けて人混みに向かおうとするから、その色を追うように黒猫が手を伸ばす。
「おい、ちょっと待てよ。
一人じゃ危ないだろ。」