【BL】俺がお前にできること
肩まで上がった手を強く握り締めて、隠すようにそっと下ろした。
あぁ…いつから俺って
こんなにも欲深くなったんだろう。
そのあと郁馬は鈴から離れて、俺のとこに来るのかなって期待してたら、弥生のところに行ってしまった。
弥生と話があるっぽい。
少し、外の空気吸ってこよっかな。
一回、気持ちを落ち着かせたい。
一回、すべてを忘れたい。
忘れて、一瞬でも楽になりたい。
俺は鈴も郁馬も視界から外して、体育館の外に出た。
出て、人の波に押しやられそうになっていると背の高い先輩にぶつかった。
「…すいません」
謝ってそのまま、離れていこうとすれば相手に腕を捕まれて、目を丸くして相手の顔を見る。
……だれ、この人…