本の森と狼さん。
ある日、本の中、狼に出会った。
わたしは硬直したまま
ただその人を凝視していた。
「あー、ビックリさせちゃった?」
私はやっとの思いで
曖昧な笑顔をつくった。
「きみ、毎日ここに来てるよね?」
ニコニコと栗色の毛の
優しそうな雰囲気のその人は
わたしに聞いてくる
「は、い」
-----あっ声震えちゃった
「毎日本読んだり、勉強したりしてるの?」
たて続けに聞いてくる
----この人、なにが言いたいんだろ?
私は微妙な笑顔をひっつけたまま
恐る恐るうなずく。
「一人で?」
ニコニコと先輩
うなずく私。
だんだんと私の笑顔が限界で
ひきつってきた時、
その人は満面の笑顔でわたしに言った。
「そーゆーの、ウザイんだよね。」