ぬくもりをもう一度
やっぱり、

野々原の言っている意味が

分からない。


「オススメの店って……。

 ただのラウンジじゃないか。

 キミに付き合ってるヒマないから」


社食に行くよ、と

冷たく告げると背を向けた。


しかし、そんなことで

野々原から逃れられるほど

甘くはなかった。


再度、腕をがっしりと

つかまれたかと思うとぐいっと

引っ張られる。


「また、私のこと

 “キミ”って言ってる。

 名前で呼ばないなんて、

 女性に対して失礼よ」


そう言うなり野々原は、

腕を掴んだまま

さっきちょこんと座った席へ

俺を無理やり座らせた。


……なんてしつこい女なのだろう。


俺は野々原に気付かれないように

小さく溜め息をついた。



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