ぬくもりをもう一度
俺はもう一度グラスワインを

一口飲む。


「ねぇ、阿久津くん」


再度、甘ったるい声で

呼びかけられ、

気付かれない程度に

眉をひそめながら

軽く返事をする。


「さっきから、私のこと

 “キミ”て読んでるけど、

 阿久津くん、私の名前

 ちゃんと知ってるよね?」


「……」


突然、そんなことを訊かれて、

俺の眉がぴくりと動く。


「もしかして……、

 知らない、とか」






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