ぬくもりをもう一度
香澄は甘え上手だと思う。


こうして腕を絡ませたり、

温かい言葉をかけてくれる。


それが決してわざとらしくなく

ごく自然体で出来る。


それが、

香澄の最大の魅力なのだろう。


その魅力に、

俺はすっかりはまってしまったのだ。


腕から直に伝わる香澄のぬくもりが、

俺の隅々を駆け巡る。


これまでの間冷め切っていた身体が、

ほろほろと解れていくのを感じる。


―――香澄、愛してる。


心の中でそうっと呟く。


実際に言葉に出来るほど、

俺はまだ器用ではないみたいだ。


心の声のはずなのに、

胸がドクンと大きな音をたて始めた。





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