ぬくもりをもう一度
「阿久津さん、

 お待たせしました」


笑顔が似合う後輩が、

ゆらゆらと湯気が立ち上る

たこ焼きを持って戻ってきた。


「おう、サンキュ」


それを受け取ると、

俺はジーンズの後ろポケットへと

手を伸ばす。


「お代はいいっすよ。

 サービスっすから」


「悪いな。じゃあ、遠慮なく」


不器用ながらも

一生懸命形作られたたこ焼きは、

少し焦げ付きながらも

まぁまぁ綺麗な丸い形に

仕上がっていた。


鼻をくすぐるソースの

香ばしい香りと、

たこ焼きの上で踊る

鰹節と青海苔が、

より一層俺の食欲をそそる。




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