冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
私も吉水さんの視線を追うように
廊下の奥に視線を送り、
歩き出す。
静まり返った廊下に、
私の足音だけが響く。
その静けさと
真っ白な廊下が
かえって落ち着かない。
駆け出したい気持ちを、
〝無理しちゃ駄目だ〟と言った
吉水さんの言葉が抑える。
大丈夫、
落ち着け。
大丈夫、大丈夫。
呪文のように繰り返し、
目の前に扉が見えると、
ホッとした。
そして、
〝笑顔〟で扉を開けると
「遅い!」
飛び込んできた大きな声に、
私は思わず一歩後ずさりしてしまった。