冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「遅すぎる!頼んどいたもの買ってきてくれた?」
さらに鋭い声が飛んでくる。
もう一歩後ずさりしそうになる足を何とかとどめ、
部屋の中へと視線を上げると、
黒い見慣れたベッドに、
白いカーディガンを羽織り、
上半身だけカラダを起こして、
こちらを不満そうに睨む綺麗な眼が私をとらえていた。
「もう待ちくたびれて今月の雑誌5冊読んじゃったわよ」
そう言って、広げていたファッション雑誌を閉じ、
近くのテーブルに軽く放り投げる。
その仕草で、
綺麗な長い黒髪が、
サラリと、彼女の肩で揺れた。
「またずっと起きていたんですか?
少し眠って休まないとダメですよ、夕綺さん」