冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
私がそう言って部屋に入ると、
「あー、それ聞き飽きたわ、ミオリ。ヨシミズと同じこと言わないで」
気だるそうに答える夕綺さんの声が不満を口にする。
でも、その様子を見て私は安心した。
「なによ?なにニヤけてんのよ…気味悪いじゃない」
「ニヤけてるわけじゃないです。嬉しいんですよ、夕綺さんが元気そうで」
「元気なわけないでしょ?
体はあちこち痛いし、
ここのご飯はマズいし、
こんな硬い質素なベッドじゃ眠れないわよ」
「痛みは生きてる証拠。
それだけ話せれば元気な証拠、ですよ?夕綺さん」
「あんたねぇ……
まったく、あんたといいヨシミズといい、
紘夜のまわりはヘンなヤツばかりだわ」
ドクン、
ふいに耳にした、
その名に
鼓動が、軋んだ。