冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】


「ドーナツ?」

素っ気ない口調だけど、夕綺さんの視線は、
私の持つドーナツの箱に注がれていた。


「え、はい…私のバイト先がドーナツ屋なんです」

「ふーん、ミオリはドーナツ屋でバイトしてるんだ?」

「そうですけど…夕綺さん、ドーナツ嫌いですか?」


「……嫌いじゃないわ」

「よかった!今日は私が選んできちゃいましたけど、
他に食べたいドーナツがあったら、教えてくださいね」


「……ダークチョコのは、ある?」

「あります。よかった!今日買ってきました」



夕綺さんの言葉が嬉しくて、
ドーナツの箱を夕綺さんのベッドの近くで開くと、

辺りに甘い香りが広がった。




< 88 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop