冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「そうだ……これ、頼まれていた化粧品と着替えです」
前に頼まれていたものを思い出し、
私は高級ブランドの紙袋を、
夕綺さんの近くにあるサイドテーブルに置いた。
「こんな立派なお店行ったことないから、買うのにドキドキしちゃいました」
あらかじめ夕綺さんに聞いていたものを買うだけだったのだけど、
はじめて入ったお店は、制服姿の私にはとても似合わない雰囲気で、
何とも言えない緊張感と申し訳なさでいっぱいだった。
「まったく、実織ちゃんになに頼んでるの」
ため息まじりの吉水さんの声が、
呆れたように呟く。
「あら、じゃあなに?今度からヨシミズが買ってきてくれるの?」
「じゃなくて、歩けるようになったら自分で行きなさい」
「その行くときに必要じゃない。すっぴんで出歩けっての?」
「にしても、今は必要ないでしょう」
「必要よ!スキンケアは毎日!」
「別に誰も気にしないし」
「私が気になるの!お肌が荒れる!」
「顔よりまず怪我を治しなさい」
「お、落ち着いてください。夕綺さん怪我に障りますよ?」
何とか二人の会話に滑り込むと、
二人の視線は途端に私をとらえた。