冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
確かに、
紘夜の姿はここにはなかった。
でも、
「紘夜は本家のパーティーに向かったのかもしれないし、
家に戻ってるかもしれない。だから――」
行方が分からないなんてことは……
「ごめん、期待を裏切るけど、紘は本家にも家にもいないよ」
目を伏せ、悲しそうに吉水さんが話す。
「どうして、そんなことが」
「わかるよ、長い付き合いだからね。
……紘は、自分のものを“現場”に残すことはしない。無事であるなら」
それは、
紘夜が無事ではない、と?
甘いタバコの香りと、
血の匂いの混ざったジャケットを抱える手が震える。