冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「どうしていないのかそれはわからないが、
紘が行方不明で
緋刃が死んだ噂は、裏じゃあっという間に広がる。
この騒ぎに、真影家の娘である真影夕綺が関わっていたこともじきにばれるだろう」
吉水さんは、夕綺さんの包帯を手際よく替えながら、
話を続ける。
「紘のいない今、真影家は戦力を失った状態だ。
あの図太そうな兄貴は自分でなんとかするだろうが、
こんな状態の夕綺は、医者として放っておけない。
真影家が裏と繋がっている以上、これからのことを考えると、
夕綺は亡くなったことにしておいたほうがいい」
裏とか、真影家のことはよく知らないけど、
確かに、
この状態の夕綺さんを帰すわけにはいかない気がする。
思い出す、
あの“お兄さん”の冷たい眼を。
あの場所に、帰したくないと、
そう思った。
まだ夕綺さんのことをよく知らないのに…
なぜか、それだけはわかった。
二人の間に飛び込んだ、あの時の夕綺さんの姿が、
頭から離れなかった。