青空バスケ―番外編―
「……嬉しかったよ」
……聞いたこともないぐらい大和の優しい声。
それが岬にも伝わったのか、少し驚いたような表情で大和を見る。
そんな岬の頭を優しく撫で、大和は言葉を続ける。
「……正直、考えてなかった。
今子供ができることなんて、これっぽっちも」
「っ……………」
「子供がいても生活できないわけじゃないけど。
だけど、はっきり言ってそんなに余裕があるわけじゃない。
それは栞奈だって分かってるだろ?」
「……うん」
「……でも。
……何でだろうな。
そんなのどうでもよくなるぐらい、嬉しかった」
大和の目はまっすぐ岬を捉えている。
岬ももう視線をそらすことはせずに、じっと大和を見つめる。
「……自分が父親になるって知って、すげぇ嬉しかったんだ。
……栞奈は?嬉しかった?」
大和の質問に岬は大きく頷く。
「……嬉しかったよ。
すぐ大和に伝えようと思った。
でも……怖くなった」
「……ごめん。
俺の言葉、気にしてたんだよな。
……気づいてやれなくて、ごめん」
謝る大和に岬は首を横に振る。
「……違う。
あたしがちゃんと言わなかったから……。
……ごめんね。
勝手に出てきて、心配かけて……」