赤い月 肆
祥子はそのまま、腰に縋りついた小鞠と一緒に膝から崩れ落ちた。
「もう大丈夫だから。」
薫がヘタりこむ祥子の肩を軽く叩く。
「‥‥‥オニ?
あのバケモノが?」
氷室の囁きは筒抜けだったようだ。
雨が落ちる地面に視線を落としたまま、祥子が呟いた。
「…
そーだ、オニだ。」
薫が肯定の言葉を低く漏らした途端、祥子が唐突に立ち上がった。
目の前にある壁のような薫の胸板に拳を叩きつけ、叫ぶ。
「んなワケねーよ!!!
姐御もオニなんでショ?!
全然違ェじゃん!!!
姐御は… 綺麗だった…」
急に頬を染め、熱に浮かされたような口調になった祥子を、薫は鋭い目で見下ろした。
「見たンか?
ドコまで?」
「全部だよ。」
しゃがみこんだままの小鞠が、祥子の代わりに返事をした。