LOVE PRINCESS(美鶴&琴)
「あ、突然すみません。美鶴の兄の陽呂です」
「姉の心菜です。はじめまして」
「あっ、はじめまして」
にっこり微笑む姿を見て思い出した。
結婚式の時の花婿と花嫁さんだっ!
少ししか見なかったけど、すごく綺麗で印象的だったんだもん。
「もう帰るんですか?」
「美鶴、送りもしないの?
本当にあの子は。
あ、呼んでくるんで待ってて下さいね?」
「えっ、あっ、いや……」
私がアタフタしてるうちに中へと入ってしまった心菜さん。
あー……どうしよー……。
「美鶴と……何かありました?」
「えっ?」
心菜さんの背中から、陽呂さんへと視線を移した。
「かなり不安がってましたから、今日」
「え? 不安?」
「無理矢理、琴さんを両親に会わしたら怒られるかな? って」
そうにっこり笑った陽呂さん。
小さく首を振る事しか出来ない私。
我慢してた涙が、溢れてしまいそうで早くこの場を離れたかった。
「両親には、前々から琴さんの話してたみたいですよ?
美鶴は普段、我儘とか、お願いとかしない……まぁ、誰から見てもイイコなんですよ。
だから両親も琴さんの話を聞いて喜んでたんですよ?
だから、琴さんそんな哀しい顔しないで下さい」
え……?
何でわかったの?
顔をあげた私の目には優しく笑う陽呂さんと、息を切らして走ってきた美鶴の姿が見えた。