LOVE PRINCESS(美鶴&琴)


「陽呂!? 何泣かしてっ?」

「わー……待った待った、泣かしたの俺じゃないからっ! ……お前だろ?」


不敵に笑った陽呂さんを見て、今にも飛び掛りそうな美鶴が止まった。


泣かす?


頬に手を当てると、我慢してたはずの涙が一筋。
慌ててそれを拭い、下を向いた。


「ちょっと……美鶴。何急に慌ててんのよ?」


同じ様に息を切らした心菜さん。


「あは、心菜さん走ったんですか?」

「そうよ! 美鶴が走るからって……琴さん!?
どうしたの? ちょっと陽呂、何かしたんじゃないでしょうね!?」

「え? また俺ですか? 違いますよ」


陽呂さんを睨む心菜さんに、『違います』と言った。

不審そうに陽呂さんを睨む心菜さん。


うぅ……申し訳ない。


「琴さん……」


美鶴に見つめられ、どうしていいかわからない。

さっき別れを決意したばかりなのに、もう愛しいと思ってしまう。

本当に、私どうしようもないね。


「え? どうかしたの?」

「さーて! 心菜さん、俺達は邪魔なんで行きましょう♪」

「はぁ? こんな状態をほっておけないでしょ?」

「はいはい。美鶴ー! ほい」


カシャンと美鶴の手に渡った鍵。


「俺の実家の鍵ね。今、中に戻ると目につくじゃん?」

「あぁ、ありがと。陽呂」


陽呂さんは、家を指差し笑って美鶴を見てた。

目につくってお手伝いさんとか?


そのまま、心配そうに何度も振り返る心菜さんの背中を押し家の中へと入ってしまった。




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