LOVE PRINCESS(美鶴&琴)


そっと近寄る美鶴に、そっと離れてしまう。


何だか、触れてはいけない様な気がして。

また傷つけてしまうんじゃないかって思って。


また傷つくんじゃないかって思って……。



――トン……

後の壁に背中があたる。

もう、これ以上下がれない。


なのに、目の前で止まった美鶴。


「逃げたいなら、逃げる? 嫌なら……逃げていいよ?」


そっとあげた顔を見て優しく笑みをくれる。


ねぇ、どうして?
どうして……そんな事するの?

強引に奪って構わないのに。

そうすれば嫌がる事も出来るし、流される事も出来る。


そんな風に答えを求められたら……自分で考えるしかないじゃない。


わかってる。
わかってるの、臆病者なのも。
わかってるの、セコイ女なのも。
全てわかってるの……。


どうしても一歩が踏み出せなくて。
どうしても勇気が出なくて。

全てを美鶴のせいにしちゃえば……楽なのもわかってる。

“私”が一番傷つかないでいい方法を選択してしまう。

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