風の恋歌

「!」

 彼が悲鳴を上げ、私はあわててそこまで飛んでいった。

 私は、足を滑らせ落ちそうになった彼女の身体を支えた。
 ぞわりと、風が吹き荒れる。
 私に彼女は触れないから、力いっぱい風を吹かせた。
 彼女は、気を失ったようだ。

 彼が驚いて上から彼女に手を伸ばす。

 彼女は、彼の大切な人だから。
 彼は、私の大切な人だから。

 私は持ちうる全ての力を使う。
 人一人を、風ごときの力で運ぶのは、相当の力が必要だった。
 でも、私はやらなくてはならない。
 私が諦めたら、彼女が落ちて死んでしまう。
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