風の恋歌
気づくと、そこには優しい顔で私を見つめる人影があった。
おかしい。
私は消えてなくなったはずなのに。
「気がついたかい、優しいウィンデーネ」
「!」
その声に、驚く。
だって、それはあの「声」だったから。
私はまじまじと目の前の人影を見つめた。
柔らかな金の髪に縁取られた、美しい顔。
太陽のように、神々しい存在感。
「えっと……」
戸惑う私に、彼はそっと手を伸ばした。
「己の命と引き換えに、そなたは命を守ったな」
その言葉に、やはり自分は消えたのだと思った。
そういえば、私はさきほどから動いていないのだ。
一所にとどまり続けたことが無かったから、少し奇妙な気分になった。