セックスフレンド
「言いたかったのは、それだけ、じゃあな」

これが、あたしと貴広が交わした最後の会話だった。

貴広は最初から最後まで優しい人だった。


それは、
会社の先輩としても。
1人の男性としても。


あたしは、貴広の後ろ姿が見えなくなるまで見送った。





それから──

あたしと瑞希はお腹の赤ちゃんの誕生を楽しみに毎日を過ごした。

6ヶ月に入る頃、赤ちゃんの性別が分かった。



「女の子?」

「うん。今日の検診で先生が教えてくれたよ」


あたしは、夜ご飯を食べている時に瑞希に教えた。


「女の子か~。名前考えないとな」

「瑞希は画数とかこだわりたい?」

「いや…そいうのは特にないけど」
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