やさぐれ女の純情
「あはっ。あははははっ、確かにおいしかったけど。
ぷふっ、大きな勘違い。
くくくっ、あれは思い出し笑いですよ~だ」
あっ、ごめん。言っちゃった。
咲樹はそう心で謝り、目の前の想い人を豪快に笑い飛ばす。
ヒーヒー言いながら自分をあざ笑う咲樹を、
ほんの少し頬が赤くなった清久が冷めた目で見据えている。
あまりにも豪快で長いそのあざけりに耐え兼ねた清久は、
仕返しの言葉を咲樹に投げつけた。
「そうだと言っておけば良いものを……。
本当に、ほんと~に、かわいげがないよ。あなたは」
「はははは――――キヨ。それ二回目よ。今度言ったら承知しない」
清久が放った仕返しの言葉は、
腹を抱えて笑っていた咲樹の表情が一瞬で凍りつくほどの威力だった。
その言葉で、笑い続けることから解放された咲樹は、
ようやくここに来た本来の目的を思い出す。