やさぐれ女の純情
「あっ。そうよ、それ。その話をしに来たんだった!」
「はぁ~。どうせあれでしょ? また別れたって話でしょ?
それで、別れ際にまたかわいくない女だって言われたんでしょ?
んで、あなたはいつものように愚痴って、酔っぱらって、
ここに泊まるつもりなんでしょーが」
咲樹に背を向け、冷蔵庫に向かいながら清久が呆れた声で言う。
「うん、そだよ。あっ、ありがとー」
戻ってきた清久に、冷たいビールの缶を黙って手渡された咲樹はお礼を言い、
話を続けた。
「だからね、なんで男はみんな同じなのかって話よ。
こっちはさぁ、付き合う前にちゃんと忠告してるんだよ?
ディープなキスも、エッチも嫌いだって。
強要したら別れるって。なのにさ――」
咲樹は、すでにあけられていた缶に口をつけ、
いつも一回で飲む量を数回に分けてチビチビと飲みこんだ。
「喉、痛いのかい?」
「んー、平気。でさ~今日――」
途切れた話を戻そうと、
今日別れた男とのやり取りを咲樹は順を追って頭の中で再現していった。