やさぐれ女の純情
1.食事をしようと誘われて待ち合わせ場所に行くと、
いつものデートは電車を使うのになんの予告もなく車で現れたこと。
2.乗る前から嫌な予感はしていたこと。
3.その予感が的中し、
下心見え見えのサプライズ旅行をプレゼントされたこと。
4.明日は休日ではなくなったという嘘で同行を拒絶すると、
じゃあ、会社の近くのホテルに泊まろうと
下心を前面に押し出した代案をプレゼンしてきたこと。
5.その代案も却下する理由を述べている最中に、
無理やりキスをしてきたこと。
6.驚きと嫌悪感と苛立ちで思わず声を荒げて、男を突き飛ばしたこと。
そこまでの経緯を思い出した咲樹の目は、
ぼんやりと視界の中にあった一滴も残っていない缶に焦点が合った。
――私……あんな奴とキスしたあと、
平気でコイツと間接キスしてたんだ。
本当に、浅ましい女ね――
咲樹は、今日のこの経緯を話さない方が良いと判断した
自分自身に毒を吐いた。