やさぐれ女の純情


咲樹は、男の言葉に思わず噴き出す。


「そんな格好で外に出られるくせに? あははっ、なにをかまととぶって。


 今更、人の目を気に――あはははっ」


おかしくてたまらない咲樹は、話も途中にゲラゲラと笑い続けた。


「あなた、さっきの涙はどこにいっ――」


「ぶふっ、あははははは」



「…………」


「んぐっ、くっくく、んはっ」



「楽しそうでなによりだょ」


夜空に呟いた言葉が白いもやとなって消えていくのを見届けると、


男は開いたままになっていた手で笑いが止まらない咲樹の手首をつかみ、


引っ張るように家へと歩きだした。


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