恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
なんとなく右へ進んでみた。
次は何が出てくるのか、辺りを見回して少しビクビクしながら歩く。
……と、その時。
突然背後からグッと肩を掴まれた。
「きゃ──っ!!」
「先輩!俺です、俺」
「……へっ!?」
耳元で控えめに囁かれる声は聞き覚えのある声…
暗い中でも茶色の耳がぴょこんと見える。
「──リクくんっ!?」
「しーっ」
相変わらず悪戯っ子みたいに笑うリクくんは、口元に人差し指を立ててみせる。
そして今まで隠れていただろう暗幕の影に私まで連れ込まれてしまった。
何っ…!?一体どういうこと!?
訳が分からず目を白黒させていると、リクくんはさっきと打って変わって罰が悪そうな顔をする。