恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
「すみません、先輩…。ちょっと強引なことしちゃって」


「何でこんなこと…!?」



言いかけた私の頬に、リクくんの掌が触れる。

その感覚と、大人びた真剣な眼差しにドキンと大きく胸が鳴った。



「…先輩がサッカーの試合見に来てた時、俺が怒ったこと覚えてます?」



何で今そんなことを蒸し返すんだろうと思いつつ、私はこくりと頷く。



「あれ…本当は雅晴のために怒ったんじゃないんだ」


「え……?」


「俺が嫌だったんです。先輩が他の男を想ってることが」



──“俺が嫌だった”…?

リクくんは私のために怒ってくれたわけじゃなかったの?



本当は優しい子なんだなって思ってた。

こんな男らしい目で私を見てくるだなんて思わなかった。


まさか……まさかリクくんは……



「俺は、先輩のことが好きだ」



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