恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
忍先輩は上品に手を振りながら、「じゃ心花ちゃん、先に行ってるわね」と言って去っていく。

リクくんは私の後ろではぁー…と大きく息を吐き出した。



「まさかあの人に会うとは…」


「リクくん…忍先輩のこと嫌いなの?」


「嫌いっつーか苦手なんすよ。あんな綺麗過ぎる男と一緒にいると変な気分になってきそうで…」



変な気分って!

まぁ…でも忍先輩は本当に男の人と思えないくらい綺麗だから、わからないでもないけどね。



ようやく離れたリクくんは、改めて私を見つめる。



「…心花先輩も応援なんですか?」


「あ、うん。そうなの」


「…俺、てっきり雅晴と──」



……え? 武藤くん?


リクくんは私から顔を逸らして、言いづらそうに口ごもる。

もしかして、武藤くんが私を誘ったこと知ってたの…?


再び顔を上げたリクくんは、少し険しい表情に変わっていた。


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