恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
武藤くんは私達の姿を見付けると、嬉しそうに微笑む。



「ありがとうございます、二人とも来てくれて」


「えっ、このお化け屋敷一人ずつ入るの!?」



入り口の注意書きを見た夕陽が声を上げ、武藤くんも頷く。

ほんとだ…、二人で入っちゃダメなんだ。



「そうなんです、少しでも恐怖心を煽るためらしいですよ」


「そっかぁ。…じゃあ心花先に入っていいよ」


「えぇっ!?」


「大丈夫だって!文化祭の出し物だもん、絶対そんなに怖くないよ」



私もそう思うけど、やっぱり一人で入るとなると心細いじゃない…。


少々押し問答して、結局イジワルな夕陽に押し切られて私が先に入ることになった。



「先輩、待ってますからね」



そう言ってくれた武藤くんの微笑みが天使に見えてくるよ…。


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