今夜 君をさらいにいく【完】
「つまらないわね。玲人ほどの美男子が今遊ばないなんてともったいないわ。・・・でもそういう信念を貫いている玲人が好きなんだけどね」
そう言って俺の顔を覗きこんでくる恵里香。
こいつが俺に好意を持っている事は以前から気付いていた。が、俺は気付かないふりをしていた。
幼いころからずっと一緒だった恵里香を恋愛対象には見れない。妹のように接してきたから。
ふと横を見ると、桜井が新人に絡んでいた。結構飲んだのか、舌が回っていない気がする。
「桜井さん他にも仕事してるんですかぁ?」
「うーんしてるよぉ~・・・理沙ちゃんみたいなカッワイ~妹もいるしねぇーあたしがしっかりしなきゃ・・・」
新人の問いかけにそう応えると、テーブルに突っ伏してしまった桜井。
他にも仕事をしているのは初耳だ。週5日のシフトで入っている桜井だが、いつ他の仕事をしているのだろうか。
「そろそろお開きの時間だそうでーす」
幹事の平山が皆に伝わるようにそう叫んだ。