今夜 君をさらいにいく【完】


その額1000万以上。

それの連帯保証人に私の名を使われていた。


そして父は突然姿を消した。なんとも情けない話。


二十歳だった私はこういう道を選ぶしか他なかった。



私には6つ年下の妹がいる。

中学3年生の妹、綾(あや)は、受験生で、今が一番大事な時期。家族がどんな状況であっても、高校には行かせてあげたい。


思春期にこんな最悪な出来事が起きてしまったので、綾の精神状態が不安だったが、綾は綾なりに気を使ってくれているようだ。



昼夜問わず働きっぱなしの私のために家事を手伝ってくれたり、常に明るく接してくれているのがせめてもの救い。私は綾の笑顔に幾度となく助けられたのだ。


その反面、無理させているのではないかと心配になる事もあるけれど・・・




夜の仕事を始めたばかりの頃はとても嫌だった。知らない男の人に触られ、舐められ、それでも笑わなければならない。苦痛の毎日だった。でも私にはもうこの道しかないと、何度も自分に言い聞かせてきた。


親の借金に綾の高校へ行く準備と生活費、全てがのしかかってくる。



もう美容師は諦めざる負えなかった。


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