今夜 君をさらいにいく【完】


恵里香は宴会の途中に部長に呼ばれ、文句を言いながらもしぶしぶ重い腰を上げた。

中島部長は頭が良く、美人の恵里香をかなり気に入っているらしい。部長がセクハラをしていると噂になっている事は知っていたが、確たる証拠を掴んではいないので何とも言えない。


でも恵里香ならきっと大丈夫だろう。何かあってもあいつはちゃんとうまく対処できるし、心配することはなかった。



その恵里香は店を出ても部長に絡まれていた。酔っている中島部長はいつにも増して態度が大きく、周りの奴らを困らせている。

だからきっと幹事の平山は困り果てて俺を呼んだのだろう。


部長達の元へ行くと、恵里香が部長に肩を抱かれていた。



「黒崎君!これからいつもの所に行こうと思ってるんだが君も行かないかね」



いつもの所とは部長が常連の麻布にあるスナックだ。
俺も二度部長の付き合いで行った事があるが、50代の美人なママがいて、他のスタッフもそこそこ面が良い。

その店に部長はもう10年以上も通っているらしい。

俺はそういうスナックやキャバクラなどが大の苦手だ。



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