今夜 君をさらいにいく【完】
袋の中には温かい牛丼と味噌汁が入っていた。
黒崎さんの心遣いが嬉しい。
私はできたての牛丼を口に運んだ。
「・・・おいしいっ!」
いつも食べている牛丼も、黒崎さんが買ってきてくれたというだけで、高級料理に変わってしまう。
私の顔を見て、満足そうに笑っている。
黒崎さん、最近よく笑顔を見せてくれるようになったな・・・
「黒崎さんもまだお仕事あるんですか?」
「いや、もう終わった」
「・・・え!じゃあ・・・」
「お前が終わるのを待ってた。こんな時間に一人で帰すのは危ないからな」
心臓が早鐘を打つ。
「すみません・・・黒崎さん疲れてるのに」
「・・・お前の方が疲れてるだろ」
資料をデスクの上に置き、綺麗な目が私の方に向けられた。