今夜 君をさらいにいく【完】
「桜井、お前はもっと人に頼った方がいい。仕事だって一人で抱えきれない時は周りに言えよ。全部一人でやろうとするな。俺もできる限りフォローしてやるから」
「はい・・・」
黒崎さんが最近優しかったのは、うちの事情を知ったからなのだろうか。
穏やかな表情が、私の心を揺れ動かす。
「ほら、食ったならとっとと帰るぞ」
椅子から立ち上がり、ジャケットを羽織っている黒崎さんに私は思いがけず、
「好きです!!」
・・・と
言ってしまった。
こんな風に伝えるつもりじゃなかったのに。いや、この想いは心に閉じ込めておこうとしていた。
私はなんて事を言ってしまったのだろう。
黒崎さんが驚いて固まっている。
「・・・あ、いやー・・・」
後に続く言葉が見つからない。あたふたしていると、黒崎さんが近付いてきた。
顔をまともに見れない。また恋愛にうつつを抜かしている馬鹿な女だとか思われてそうだ。
しかし、“好きです”と言ってしまった以上、隠しようがない。
どんな風に思われようと、今ここでちゃんと気持ちを伝えなければならないと思った。